創立九十周年を祝す 藤 井 日 光 (ふじい にちこう) (日蓮宗管長・総本山身延山久遠寺法主) 近代法華経信仰者に多大の指針を与えてこられた法華会、その思想と教化の具現化である「法華」が創刊九十周年を迎えられたことに深い敬意と祝意を表します。 山田三良先生、小林一郎先生、矢野茂先生の御名を拝する時老衲も又多くのことを学ばせていただいたことを思い出し、まさしく私淑の師と申し上げる方々の会であったと思っております。 わけても小林一郎先生の「法華経大講座」は今日でも座右の書であり、若い修行僧達に“法華経を学ぶならばまずこの書から入るべし。これこそ法華経信仰指南の書なり”と推薦しているところでありますし、久保田正文先生の「法華経講話」は法華経の神髄と日蓮聖人の法華経受容を理解する上で、欠くべからざる書物であることも指摘いたしております。 自己の領解が法華経・ご遺文解説の書として大手を振っている昨今、法華会がすすめる日蓮聖人の法華経観に立脚した法華経理解と行動は今後ますます重要になってまいります。会の充実と発展を心から願うものであります。 歴代理事長先生はじめ講師・会員の諸先生とは老衲もご交誼をたまわった方々ばかりであり、今更のように懐かしく此の度の慶事を霊山できっと悦んでおられることと拝察いたしております。 そうした中で加治先生の思いはことのほか強いものがあります。先生ご夫妻には公私にわたってご交誼をたまわりました。 先生は法華会だけでなく身延山をはじめ広く宗内外にそのお力をお与え下さり、先生の物心両面にわたる浄行は末永く語り継がれて行くことでありましょう。 重ねて申しますが、講師・会員の諸先生には多方面にわたってお世話になった方ばかりであり、九十年という一つの節目のご挨拶をさせていただくにあたり、あらためて感謝の意を捧げるところであります。 現在主任講師をつとめておられる渡辺先生は、現代宗門の碩学と申し上げる方であります。NHKの宗教の時間をはじめとするマスコミでのご活躍、数多くのご著書は未信徒の方々にも大きな安らぎを与えておられ、四海帰妙に多大な貢献をなさっておられること、加えてその学解、信仰心の深さに陰ながら敬意を表しております。これからもご法体をご自愛下さり活躍されることを願ってやみません。 又現在の運営を支えておられる高宮・春日屋両先生には、その法功に感謝しており、次なる百年、二百年に向けての礎となられることを切に希っております。ことに春日屋先生ご夫妻には身延山としてもご交誼をたまわっており、その根底に法華会での行学があるのだと思っておりますので会でのご活躍にご期待申し上げております。 伺いますと最近は若い学生が参画されているとのこと。大木に若芽が出るように、更なる努力を重ねられ将来は巨木となられますことをお祈りしお祝いのことばといたします。 合掌 |